松涛の家

渋谷区松濤に建つ2世帯住宅。
地上3階、地下1階、S造の骨組にRC造の外壁というハイブリッ
ドな4層の構造をもち、パッシブソーラーシステムの考え方を随所に応用したつくりとした。阪神淡路大震災に遭遇した経験をもつ建築主からは、耐震性を重視し、ファサードは石を用いた重量感のあるつくりを要望された。
構造はS造とし、外壁廻りはRC造として、「構造スリット」を設けて上下及び左右の壁を絶縁する一方、鉄骨柱とは断熱材で絶縁した。
それによって、S造としての耐震性と石灰岩張り(「セルバグリーン」・スペイン産)厚30ミリ・乾式空積工法によるRC造らしい正面外観をもつつくりを可能にした。
屋根は、二重構造となっていて、内側を金属屋根とすることによって雨仕舞を確保し、その上に耐候性と重量感と普遍性から、外壁のセルバグリーンとマッチングする緑色の天然スレート石葦き(スペイン産)とした。
外壁は、素材感、風合いが良い石灰岩系の石の中から多くの緑色系の原石を探し、耐候性、吸水率、強度などを検討して最も優れたスペイン産の「セルバグリーン」を選んだ。多数のスラブ材を厳密に選定した「ブックマッチング張り」(拝み返し張り)とし、正面の外観の斑の流れに連続感を持たせた。
室内階段のある吹抜部分は、支柱に「熱循環のしかけ」を施し、冬季に最上階に溜まった暖房の上昇熱や太陽光の輻射熱を熱回収して、温度センサーと、それに連動する換気ファンによって地階へ導くようにした。
【建物名称】 松涛の家
【所在地】 東京都渋谷区
【竣 工】 2004年
【用 途】 二世帯住宅
【敷地面積】 165.29㎡
【延床面積】 345.61㎡
【構造・規模】 S造一部SRC造、地下1階・地上3階