NoaH

仙台市内に建つ二世帯住宅。古くからの住宅地でありながら、周辺の街並みは没個性的である。建築主からはそうした環境を刷新していける発端としての建築となることと、住んでいて飽きのこない創造的で刺激的な住空間を要望された。そもそも「注文住宅」とは、個々にその依頼主のための「特殊解」であって、誰にでも通じる「一般解」である必要のないものである。それが「建売住宅」との基本的な違いである。したがって、この住宅は、インテリアにとりわけ造詣の深い建築主の期待に沿う形で様々な空間が個性的なしつらえをされている。空間のプロポーション・形・材料・色彩が、各々主張し、又、干渉し合って、視界の中に飽きさせない情景を創り出している。近傍に徳川家ゆかりの東照宮とその参道があることや、伊達藩の「土地の記憶」から、色相として、日本の伝統色を配し、和と洋の空間をヴィヴィッドに連結させた。そして、動線的には一筆書きのように流動的な空間を連続的に連ねる一方、相貫体や透視図法的な形態操作などによって、断続的に異質な空間を対比させた。こうしたことで、インテリアと装飾に深い知識とこだわりをもつ建築主が、快適に住みこなしていくとともに、医師として日常が超多忙であることから、この家では心底くつろげて、英気を養い、創造性を喚起するつくりとした。居住性に関しては、階段状のスペースに嵌め込まれた浴槽やアスレチックルームから飛び出した形の流水プール、吹抜けに面したシャワー室、サウナ室など、水回りの浮遊感や、臨場感を出すことで、快適感や癒しの効果を狙った。各居室は、必ずしも隣接せず、長い動線で結ばれている。機能的に空間を連続させず、「移動空間」をはさむことで次の異空間へと進む「結界」と「転換」の意識を演出している。
【建物名称】 NoaH/ノア
【所在地】 宮城県仙台市
【竣 工】 2005年
【用 途】 住宅
【敷地面積】 797.07㎡
【延床面積】 803.90㎡
【構造・規模】 RC造、地上2階